東洋大学 白山キャンパスにて行われた「くらしの足をみんなで考える全国フォーラム」に参加しました。
以下、レポートです。
【目的】
今後の生活の足となる公共交通について全国の事例を調査し、静岡県における公共交通政策に生かしていく。
【内容】
- 東京大学 生産技術研究所 特任講師 伊藤 昌毅 氏
- MaaSについて「全ての交通サービスがポケットの中にある」という感覚
- Whim
フィンランドのMaaS。いくつかの交通手段から最適な移動ルートを自動検索。検索~決済まで一括で可能。サブスクリプションのサービスだが実際は都度払いが多い? - Izuko
JR東日本が伊豆の観光型MaaS実証実験用に開発したアプリケーション。 - ウィラー
ウィラー社の観光型MaaSアプリ。東北海道と京都丹後鉄道沿線が対象エリア。目的地や中継地を入力し、その間のサービスや交通を一括予約・決済する。 - EMot
小田急電鉄が自社で開発するオープンデータ基盤「MaaS Japan」を活用したMaaSアプリ。 - 群馬県前橋市がMaaS最先端。
- 前橋市 政策部 交通政策課 課長 細谷 精一 氏
- 前橋市は自動車保有率全国一位
- 運転免許自主返納支援
マイタク(1/2助成)→今後マイナンバーカード - 聴取者の意見:客の取り合いにならないか?
- (株)ディー・エヌ・エー オートモーティブ事業本部 プロダクトマネジメント部 部長 黒澤 隆由 氏
- MOV
タクシー配車アプリ。契約スポンサーとMOVの広告宣伝費によって乗客が支払う利用料金を無料にする(プロジェクトの一部として)。スポンサーはMOVで配車できるタクシーの車体ラッピングや社内での自社商品・サービスを宣伝。
- MOV
- Easy Ride(DeNA+日産)
- 聴取者の意見:収益化の壁
- ポスターセッション
- 特定非営利活動法人 移動支援Rera
東日本大震災後の移動支援について。
津波による水害によって車両が流出し、その後の移動の問題が多く発生。
災害後、移動困難者のニーズは時間とともに変化。初期は避難が主だが時間経過につれて通院等に変わる。
外部による支援は「初動に強い」が「冷めやすい」。外部支援者が途切れる前に地域住民を巻き込んでいく。
静岡県においても他人事ではない。 - 標準的なバス情報フォーマット広め隊(伊藤 昌毅 氏)
国土交通省が整備した「標準的なバス情報フォーマット (GTFS-JP)」で公共交通データを整備しオープンデータ公開することで、乗換案内やサイネージ、地域の交通計画など幅広い活用が実現。
GTSFデータは複数のCSVファイルに記述される。それぞれのCSVファイルには「交通機関の基礎的な情報 (agency)」「停車地。駅やバス停などに関する情報 (stops)」「ルート (routes)」「停車時刻 (stop_times)」「運航日の曜日 (calendar_dates)」などがある。
GTFSは公共交通機関のオープンデータのデファクトスタンダードであり、Googleのサービスでも対応している。
静岡県下では「すそのーる(裾野市)」「焼津市自主運行バス」「順天堂大学病院直通バス」「藤枝市自主運行バス」「島田市コミュニティバス」「菊川市コミュニティバス」がGTFSデータとして公開している(2019/10現在) - いわて地域づくり支援センター
移動販売事業の可能性について。
以前は見られた移動販売車が、ニーズの変化や事業者の高齢化によって減少の一途をたどっている。
その反面、新たに移動販売業を展開するケース、行政が後押しするケースも見られる。
- 特定非営利活動法人 移動支援Rera
【県政への反映】
ICTの発展により、公共交通機関の活用に変化が生じている。MaaS (Mobility as a Service) と呼ばれる、「移動」をノンストップのサービスととらえる概念の台頭である。
多くはスマートフォンを入力デバイスとし、目的地までの最適な交通手段をAI等で選択、決済まで済ませることができる。このようなサービスにおいてベースとなるのがGTFSなどの公共交通データである。静岡県においてはまだ対応している事業者は多くはない。ICT業界ではいかに早くデファクトスタンダードに合わせるかが鍵となる。取り残されないためにも県下の事業者にデータの公開を進めるべきである。
現在MaaSにおいては元々公共交通機関が存在する場所が対象であり、またスマートフォン等のタッチパネルがインタフェースであることから、最も交通の便が無い「山間部の高齢者」に対して相性が悪い。上記で紹介した移動販売も活用し、「移動しなくてもよい」環境を作っていくのも必要ではないか。