調査

農業 Week (2019/10/9)

幕張メッセで行われた農業 Week を視察しました。

以下、レポートです。


【目的】
今後、人口減少も伴い、農業生産力は低下していくと考えられる。それに県として対応していくため次世代の農業に関する技術を調査する。

【聴取内容】
●N株式会社
コンテナ植物工場をベースにして10km圏内で構築するビジネスモデルの導入支援を事業としている。
コンテナ植物工場とは文字通りコンテナを植物工場とするものである。比較的小規模な事業に向いている。
近隣の販路先の調査も行うため、個人の農業スタートアップとして利用できるのではないだろうか。一連の一般的なソリューション提供で4,000万円程度。
また、LEDの代理店でもあるようだ。色による生育の変化があるようだがエビデンスまでは調査できず。
●P株式会社
パッシブハウス型農業システムを展示。
パッシブハウス型農業システムは、自然の力を活かして栽培環境をコントロールし、使うエネルギーを最小限に抑えるものである。従来のハウスのエアコン・ボイラーによる環境制御(アクティブ)に対して、自然の力(太陽光・水・風)の制御(パッシブ)である。
自然の力をセンサーで感知し、ハウスのカーテンの開閉、ファンによる気流生成、加湿冷却を行う。これにより大幅な省力化・省エネが実現できるという。
しかし、従来のビニールハウスが1棟約100万円であるのに対し、このシステムを用いたハウスは10棟で約7,000万円と初期費用が高い点がネックである。既存のハウスに環境制御システムを後付けする方法もあり、こちらは1棟約300万円。
また、生産から販売における一連の情報をデータベース化できるシステムも展示していた。
●S株式会社
LED光を用いた生育促進現象を活かした育成方法である「S法」を紹介していた。
光合成に最適な光の波長は660nm付近の赤い光と450nm付近の青い光であることが明らかになっている。赤と青のLED光をリーフレタスに交互に照射すると生育が促進される現象が発見され、この現象を活かした育成方法が「S法」であり、昭和電工の植物工場の要となっている。
今まで詳しいメカニズムがわかっていなかったが、研究の結果が論文となり ”HortScience” という学術誌に掲載されたとのこと。
これからの植物育成にはLED技術はかかせないものであり、県のAOI-PARC等の機関ではさらに研究を進めていく必要があるのではないだろうか。
●株式会社N
農業用ドローンを展示。他企業のブースでも様々な農業用ドローンが展示されていた。
この企業ブースにおける農業用ドローンの特徴は、農場の測量を人の手を介することで確実にすることである(人が測量棒と呼ばれる棒を持って歩きGPSと連携する)。
農業用ドローンの利点は、生育状況確認や薬剤散布を効率的に行うことができることである。薬剤散布であれば半分以下の所要時間となり、同時に労働量も軽減できる。
現状、バッテリーや導入コスト(1機300~500万円)という問題があるが、是非とも県として導入支援に動き農業のスマート化を進めるべきだと考える。

【県政への反映】
LEDを活用した植物工場、センサー技術とクラウドを活用したスマートハウス(温室)、GPSやドローンを活用した農場整備の展示が多かった。ミカン等の果樹への技術対応はまだ少ない。
既存の農家が新技術を導入してペイできるのか、調査していく必要があると感じた。