新大阪丸ビル別館にて、早稲田大学 スマート社会技術融合研究機構 電動車両研究所研究院 客員准教授 井原 雄人 氏 による地域公共交通特別講座を受講しました。
以下、レポートです。
【内容】
- 地域公共交通網形成による地域に合わせた公共交通の構築
-
- 地域公共交通活性化・再生法
- 目的
- 交通政策基本法の基本理念の具体化
- 持続可能な地域公共交通網の形成
- 地方自治体が実践・国は方針と金
- 目的
- 総合連携計画から網形成計画へ
- 地域公共交通総合連携計画
- 達成状況の評価が十分に行われていない
- 地域公共交通網形成計画
- 地域特性に応じた多様(コミバス・デマンド・自家用有償など)な交通サービスの組み合わせ
- 広域性を確保しつつ地域全体を見渡した総合的な公共交通ネットワークの形成
- 具体的で可能な限り数値化した目標設定
- 地域公共交通総合連携計画
- 地域公共交通網形成計画の概要
- 位置付け
- 国「網形成計画を作れ」
- 県に網形成計画はあるか?
- 地域公共交通網形成計画は憲法(理念)
- 記載事項
- 基本方針
- 地域が目指すべき将来像とその中での公共交通の果たす役割を明確化
- その地域独自の考えを
- 計画の区域
- 地域の交通圏を基に計画の区域を設定
- 隣の自治体とのつながり
- 計画の目標
- 観光客数などの数値目標を
- 事業・実施主体
- 将来像を実現するために提供される公共交通サービスの全体像およびそれらを実施する際のサービス水準(運行頻度や費用負担方法)の設定
- 計画期間
- 原則5年だが、5年待たずに柔軟に1年でも
- 基本方針
- 求められること
- 広域性の確保
- 住民の日常的な生活圏を踏まえて計画(病院に行く頻度など)
- 住民の協力を含む関係者の連携
- 公共交通会議は住民が入る
- どのような住民か?自治会長?商店街連合会長?
- 交通に関する住民アンケートは極端なことしか返ってこない
- 家族の誰か?父?母?子ども?
- 人口の1%位が毎日公共交通を使う
- 「普段乗る人が回答してください」のような問いかけをしなければならない
- 公共交通会議は住民が入る
- 交通モード
- BRT (Bus Rapid Transit)
- 専用道路を走行するバスによって、鉄道並みの大量輸送を可能にするシステム
- 連接バス
- 一人の運転で倍の乗客を運べる
- 連接バス
- 新潟市・常陸那珂市など
- 結節点
- 行政がバス停整備(ベンチ・待合室等)を補助すべき
- 専用道路を走行するバスによって、鉄道並みの大量輸送を可能にするシステム
- 自家用有償
- 白ナンバーの自家用車
- 交通統計
- 乗合バスの現状
- 輸送人員
- 三大都市圏:微増(高速バスのおかげ)
- その他:下げ止まり
- 輸送人員
- 旅客事業の種別
- 人を運ぶ:旅客
- 物を運ぶ:貨物
- 用語の定義
- 似たような用語で騙されやすい
- 輸送人キロ
- 能力人キロ
- 走行キロ
- 自動車が走った距離をキロメートルで表したもの
- 人員を輸送したかどうかは問わない
- 乗合バスの現状において走行キロは変わっていないのは、客が乗っていなくてもカウントされているため
- 似たような用語で騙されやすい
- 乗合バスの現状
- 網形成計画策定時・見直し時のポイント
- 網計画がないと国が支援しない方向?
- 網計画を書くためにコンサルは必要か?
- 事前調査はコンサルを入れてもよいのでは
- 地域公共交通網形成計画の策定状況
- 浜松市は無し
- 調査報告よりも今後の方針を
- 「検討」という言葉の使い方に注意
- 具体的なアクションを書くべき
- 数値を達成することが目的となりがち
- 何のためにこの数値目標とするのか
- 地域で支える仕組みづくり
- 岡山・両備バス
- 市街地で設けて過疎地を運行
- 市街地に競合他社があらわれ、両備バスは過疎地から撤退
- 市街地で設けて過疎地を運行
- 費用負担の方法
- 運行経費
- 人件費:60%
- 燃料費:10%
- 運賃
- 運賃を0円から値上げするとインパクトが大きいが、100円→200円などの上げ方はそれほど影響しない
- 必要なので乗っているため
- 運賃を0円から値上げするとインパクトが大きいが、100円→200円などの上げ方はそれほど影響しない
- 運賃・自治体からの補助金を除いた不足分の補填
- 地域の病院等から
- 協賛金:運行する必要がある
- 京都醍醐コミュニティーバス
- 広告料:運行しなくてもよい(車体ラッピング等)
- 協賛金:運行する必要がある
- 地元住民から
- 定期券
- 応援券
- 「バスがあればデイケアの送迎をしなくてもいいですよ」などの勧誘
- 地域の病院等から
- 運行経費
- ふるさと納税の活用
- コミュニティーバス購入(沖縄県東村)
- 話し合うのに何が必要
- 市民
- 偉い人(自治会長など)より乗る人
- 交通事業者
- 行政
- 交通課・観光課・まちづくり課
- 警察・運輸局
- 学識
- 市民
- 岡山・両備バス
- BRT (Bus Rapid Transit)
- 広域性の確保
- 位置付け
- 地域公共交通活性化・再生法
- 立地適正化計画によるコンパクト・プラス・ネットワークの実現
- 地方都市の人口動態
- 2010年→2040年
- 県庁所在地(除く政令市)
- 老年人口:増
- 生産年齢人口・幼年人口:減
- 5万人規模の都市(地方都市)
- 老年人口:微減
- 生産年齢人口・幼年人口:減
- 高齢化率が情報するのは高齢者が増えるからではなく若年者が減るから
- 高齢化率の上昇に加えて、人口そのものが減ることが問題
- 県庁所在地(除く政令市)
- 2010年→2040年
- 10万程度の都市の事例(これから)
- 薄まった(人口密度が低い)地域を均等に維持しなければいけなくなる
- 小規模な都市は組織が小さいので連携が取りやすい
- 大規模な都市(政令市クラス)は連携の意識がもともとある
- 中規模な都市が一番連携が取れていない
- 人口密度を維持する:コンパクトシティー
- コンパクトシティーへの誤解
- 誘導によるコンパクト
- 対象区域への移転にインセンティブを付与して時間をかけて移転
- 対象区域外もインセンティブがないだけで許可制
- 誘導によるコンパクト
- コンパクトシティーが生み出す成果
- 限られた資源の集中的・効率的な利用で持続可能な社会を実現
- 先進都市の事例(熊本市)
- バス事業者が次々と破綻→再編して役割分担
- 立地適正化計画の概要と確認すべきポイント
- 計画策定時の指針
- 基本方針
- 当該市町村の現状の把握・分析を行い、課題を整理することが必要
- 中長期的(概ね20年)に都市の生活を支えることが可能となるようなまちづくりの理念や目標、目指すべき都市像を設定することが必要
- その実現のための主要課題を整理し、一定の人口密度の維持や生活サービス機能の計画的配置及び公共交通の充実のための施策を実現する上での基本的な方向性を記載することが考えられる。
- 立地適正化計画の区域設定
- 立地適正化計画区域(都市計画区域) ⊇ 市街化区域等 ⊇ 居住誘導区域 ⊇ 都市機能誘導区域
- 都市機能誘導区域:区域内の移動も便利にしていく
- 拠点を作る:立ちいかなくなったら集団移転という選択肢も
- 計画策定時の考え方
- 持続可能な都市経営を実現する観点からは、将来の人口の見通しとそれを踏まえた財政の見通しを立て、都市構造と財政支出の関係を精査することが望ましい。
- 居住誘導区域
- 都市の中心拠点及び生活拠点に公共交通により比較的容易にアクセスすることができること
- 基本方針
- 計画策定時の指針
- 立地適正化計画による先進的な街づくりの事例
- 長野県松本市(H27:24.3万人→H47:21.6万人)
- 村井駅(市内第2の駅)とその周辺の整備:松本市南部の「村井駅の北側」は誘導区域だが塩尻市北部の「村井駅の南側」は何も指定されていないため、塩尻市から松本市に引っ越す住民がいる
- 長野県松本市(H27:24.3万人→H47:21.6万人)
- 地方都市の人口動態
【県政への反映】
地域の公共交通網計画策定のポイントと、立地が適正なまちづくり(コンパクトシティー)の実現のための計画策定のポイントを本研修で学んだ。
公共交通とまちづくりはそれぞれ独立せず、密接に関係している。今後の新しい公共交通システムの導入の際にはまちづくりの視点も欠かせず、行政・事業者がその視点を持って計画しているかチェックしていきたい。