調査

日華友好議員連盟 台湾訪問 (2019/8/5-8)

日華友好議員連盟は、日本(静岡)と台湾の友好・交流・連携を目指して組織された超党派の議員連盟です。

今後の双方の更なる発展に向けて意見交換を行ってきました。

伺ったところは「嘉義県庁」「台湾交通部観光局」「台湾総統府」「故宮博物館南院」です。

以下、報告です。


【嘉義県庁】

【翁 知事(嘉義県)】
茶を通して嘉義県と静岡県の交流が盛んに行われてきている。2006年8月に浜松の中学校、2012年3月には東京食品フェスティバルで静岡県と交流。今後も文化と産業の交流を深めていきたい。
嘉義県と静岡県には共通点があり強い絆がある。茶:阿里山高山茶―静岡緑茶・山:阿里山―富士山・鉄道:阿里山登山鉄道―大井川鉄道・わさびの栽培環境:土中―水中
11月の「世界お茶まつり」にはチームを組んで参加したい。

【森 会長(静岡県儀)】
張 前知事に引き続き翁 知事にも静岡県と嘉義県の友好を深めてもらいたい。
静岡県の盛んな産業には農業・鉄道・観光があるが、同行している3名の静岡県議にそれぞれ紹介してもらう。

【宮澤 県議(農業について)】
静岡県は茶の日本一の生産地であり、食の都でもある。
農業の課題として後継者不足がある。嘉義県の取り組みを伺いたい。

【野田 県議(観光について)】
静岡県の水わさび栽培が世界農業遺産に登録された。外国人観光客に食べてもらい、栽培現場を観光ルートにしていきたい。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは修善寺ベロドロームでトラック競技、御殿場・小山町でロードレースが行われる。オリンピックのレガシーとして伊豆半島をサイクリングのメッカとしたい。台湾の方ともサイクリングを通じて交流を深めていきたい。

【河原崎 事務局長(静岡県儀)(鉄道について)】
大井川鉄道は山間部を通っており急激に沿線住民が減少している。そのため、観光客取り込みに力を入れている(機関車トーマス)。

【森 会長】
静岡県は茶の流通が低迷。価格も下がってきた。
嘉義県の茶に対する取り組み、茶農家の状況を伺いたい。

【翁 知事】
嘉義県も労働力が高齢化している。1965年から工業化し農業人口が工業人口に吸収されたが、直近8年間で徐々に若い農業人口が戻ってきている。問題は人口流出と少子化。現在の台湾の人口は2,300万人だが、2050年には2,000万人を割る予想。
嘉義の農家は小規模(1ha未満)であるため生産力が高められず低収入。補助金政策で小規模農家をサポート。農地の持ち主はほとんどが年配であり、土地を譲渡してもらう政策が必要。
政策で1ha未満から10haの耕作が可能になった。機械化も目指す。耕作面積を必要としない「グリーンハウス」を促進している(市場価値がある野菜・果物)。
茶は嘉義県にとって非常に付加価値のある作物であるが、茶からコーヒーの栽培に乗り換える農家が増えている。若者は茶(発酵茶)を好まず、茶をボトルで買う(ボトル茶の原料は輸入茶)。
労働力の高齢化も問題。台湾の労働者は外国人労働者の受け入れを望んでいるが、政府はリスクも考慮している。現在では特定作業(屠殺など)のみ受け入れている。機械化でいかに効率化し、潜在的な労働力を引き出していくか。

【森 会長】
今後も茶の販売促進やお茶まつり、わさびなど連携していきたい。
富士山観光について2名の静岡県議から話してもらう。

【伴 県議】
富士市には海から富士山頂上までのルートがある。頂上までには徒歩で2泊3日程度必要。外国人観光客が登山途中に地元住民から水や菓子などの提供を受けられる売り出しをしている。

【木内 県議】
富士宮市には浅間大社・白糸の滝といった世界文化遺産がある。富士山世界遺産センターもあり外国人観光客が増えているが、「富士山見物→センター→食事」というルートになってしまっているのが課題。長く滞在してもらい、お金を使ってもらう活動をしている。

【翁 知事】
日本人にとって富士山は大きなシンボルであり、台湾人も好んでいる。

【土屋 幹事長(静岡県儀)
台湾は身近で安心。今後も嘉義県と交流が深められるように、観光・産業についても連携していきたい。

【許 局長(嘉義県)】
嘉義県主催で9/7~9/16に「世界のお茶の博覧会」があるので来てほしい。
阿里山も世界遺産登録に向けて取り組んでいる。

 

【県政への反映】
静岡県と嘉義県とは共通点も多く、今後も観光面や農業などの産業面においても互いに連携し、相乗効果で両地域を盛り上げていくことが可能ではないだろうか。また共同で新しい文化を生み出していくのも面白い。
静岡県との共通点という視点でまだ友好関係のない地域とも交流していくことがこれからは必要ではないか。


【台湾交通部観光局】

【林 秘書(観光局)】
台湾は静岡県との交流が緊密。今年1月~6月で、台湾→日本(250万人)、日本→台湾(97万人)
静岡県―台湾間で修学旅行での交流。また静岡県はスポーツ観光が盛んで、台湾もコラボレーションしていきたい。

【森 会長】
静岡県は観光県なので台湾との関係を深めていきたい。伊豆・富士山・浜名湖の3つの観光資源について県議から話してもらう。

【野田 県議(伊豆について)】
オリンピック終了後もレガシーとして文化を残す活動をしている。そして現在も台湾のサイクリストと交流している。

【鈴木 県議(富士山について)】
富士山の体験型の観光を提供している。

【田内 副会長(浜名湖について)】
湖西市と日月潭で友好協定を結んでいる。両者ともサイクリングが盛ん。(浜名湖は1周60km)

【林 秘書】
浜名湖・駿河湾は世界で一番美しい湾の一つ。
再来年は台湾の自転車記念年。台湾全土で4,000kmのロード(自転車道?)がある。

【森 会長】
(富士山静岡空港について)

【大石 県議】
台湾には1週間に2便である。もっと増やしていきたい。

【林 秘書】
地方空港との交流が盛んになるようにしていきたい。

【田内 副会長】
セントレア―台湾間のLCCの便が増えている。静岡―台湾間のLCCの便を増やすにはどうしたらよいか?

【観光局】
航空便は需要に応じて増えていく。便数を増やす検討をしてもよい。日台間の航空便も地方拠点が増えている。

【土屋 幹事長】
台湾の子どもたちが来てくれるようになるには?

【観光局】
学生の頃に異文化体験することはよいこと。静岡と台湾は似ているが違うところもある。違うところをアピールするとよいのでは。

【森 会長】
当初から県立・私立高校5校、台湾からは22校の修学旅行が行われている。

【観光局】
若いうちに行くと、その後にも行きたいと思う学生もいるはず。

【森 会長】
(台湾におけるサイクリング事情、オリンピック対応)

【観光局】
自転車をスポーツと観光でリンクさせて考えている。台湾一周(900km)・日月潭でのイベント・台湾最東西南北を周るイベント・東海岸を周るイベントなど。地方政府が自転車イベントを推進している。
交通部が自転車ルートの特別部署を設けた。沿道に学校・交番など

 

【県政への反映】
台湾は国を挙げて自転車ブームを作り上げている。静岡県においても元々あったサイクリング資産、東京オリンピック・パラリンピック後のサイクリング資産を台湾との交流に効果的に活用していくべき。


【台湾総統府】

【陳 秘書長(総統府)】
2012年(当時、陳 氏 高雄市長)に高雄市と静岡県の交流活動があった。その際、日華議員連盟と台風・土石流など防災について意見交換を行った。
高雄市は多数の地方自治体と交流しており、引き続き友好を。
台湾の総統府は100周年を迎え、日本とは歴史的に深いつながりある。多くの分野で連携していきたい。
旅行者は台湾→日本(年間400万人以上)、日本→台湾(年間160万人以上)である。もっと多くの観光客を。

【森 会長】
台湾から静岡県には12~13万人の旅行者、また修学旅行でも22校が来静。静岡県から台湾には県立高校35校、私立高校5校が修学旅行で訪れている。
オリンピックを機会に更に多くの人に静岡県に来てもらいたい。
富士山静岡空港の台湾行きの便が週4便→週2便になったので戻してほしい。
台湾は優れた民主主義国家であるのでこれからも守っていってほしい。
近頃の香港に対するレポートを送ってもらったが議員全員理解している。

 

【県政への反映】
今後、さらに互いの人間が行き来するようになるのが、互いの行政の望むところであると感じたので、より良い友好関係になるために連携して広報活動等していくことが必要。


【故宮博物館南院視察】

台北市の国立故宮博物院の機能分散を図るために、2015年12月28日に開業した。アジア全体の文化をテーマとしている。ガイドが各フロアを、ヘッドセットを通して案内した。

 

【県政への反映】
比較的新しい本博物館は建物からして前衛的なデザインであった。展示物も多く、時代・テーマに沿って美しく展示されていた。
浜松市の楽器博物館等、あるテーマに特化した比較的小規模な博物館も必要だが、ロンドンの大英博物館やニューヨークのメトロポリタン美術館など、大規模なものはそれ単独でも観光資源となる。
世界的規模なものは難しいが、静岡県立美術館の大規模化を考えてもよいかもしれない。


 

故宮博物館南院