幕張メッセにて行われた CEATEC 2019 を視察しました。
以下、レポートです。
目的
スマートシティー実現のための技術・情報収集のため、CEATEC 2019(展示会)を視察する。
NEXCO 東日本
- 回転式打音診断支援システム
トンネル等の壁面のコンクリートの打音点検を高精度で効率良く行うためのシステム。
金属製多面体装置(バーの先端に回転させられる金属製の球体を取り付けたもの)をコンクリート上で転がし、その音を拾い上げてヘルメットに搭載されたヘッドホンから発する。また異音をキャッチした際に同様にヘルメットに搭載されたLEDで合図できる。
このシステムにより点検時間が3~4割程度短縮可能であるとのこと。
- PRETES
PRETESとはMR(複合現実)技術を活用したインフラの保全技術支援ツールである。
ホロレンズ(VRゴーグル)を通じて実際の橋梁等のインフラ設備にその設備の設計時のCADデータを投影する。
研修生はその映像通して設備の構造を知ることができる。
ANA
- newme
newmeとはコミュニケーション型アバターである。
小型の車両に直立したバーが付いており、そのバーの最上部にタブレットのようなディスプレイが取り付けられている。
使い方は様々で、例えば空港での案内等でも利用可能である。
- Fishing
海から離れた場所でも釣りを体験できるシステムである。
現実と現場の接触情報を双方向で伝送して力触覚を再現し、釣りの臨場感を創出する。
身体的ハンディキャップのある方でも楽しむことが可能となる。
大成建設
- 力触覚伝達型 遠隔操作ロボ
コントローラーにより遠隔地のロボットを操作し、そのロボットの触覚をコントローラーに伝えることが可能。
デモにおいて上記を体験できた。
- 災害時の建物被害を「見える化」
建物の各フロア等に加速度センサーを設置し、地震発生時にその情報をインターネット経由で見ることができる。同様に漏水探知センサーを設置することで漏水もキャッチすることができる。
- リアルタイムに人を検知
レーダーによって物体の場所を検知する。人間にICタグを持たせ他の情報(作業内容など)とリンクさせると何かしら判明する(時間のかかる作業など)の可能性を示唆していた。
- デジタル西新宿
タブレットを西新宿の模型にかざすと、現在の西新宿のデータが可視化される。
見ることができるデータは地表温度やビル風の流れ、また災害避難時の人の流れのシミュレーションなどであった。
凸版印刷
- ZETA
LPWA (Low Power Wide Area) 通信技術の規格の一つである。 高速通信には向かないが(920MHz帯・テキストデータ程度)、小電力(目安として20分間に1回の通信で、単3電池1本で3年以上もっているらしい)で広範囲(~60km程度?)の通信が可能。
マルチホップ可能であることから、基地局より安価な中継器でネットワークを構成できる。
宮崎県では山奥でのチョウザメ養殖の遠隔監視に用いられているとのこと。
清水建設
- 水素利用システム:Hydro Q-BiC
エネルギー源の一つである水素を貯蔵する技術を紹介。
水素の可燃性はかねてからの問題であったが、清水建設と産総研の共同研究で、可燃性を排除した水素吸蔵合金の開発に成功した。
- 施設内移動サービス
施設や街区など限定的な区域内における移動サービス。
歩行者用ナビや低速自動運転車両の配車・エレベーターリクエスト機能との連携を行う。
SoundUD コンソーシアム
- SoundUD
SoundUDは、スピーカー等から発せられた音波の中から音声トリガーと呼ばれる信号をスマホ等のマイクで受信し、それをキーとして様々な情報提供を受けるシステムである。
店内や駅等の施設においてレコメンド情報を受けるようなサービスが期待されている。
県政への反映
スマートシティーブースを始め、IoT (Internet of Things) 関連製品が主であった。
今まではそれぞれの機器が単独して成立していたため、それらの機器を介した情報は自らが取得しに行かなければならなかったが、インターネットとつながることによって自動で情報が集積することとなる。人口減少社会となった今、労力の削減に大きく寄与することができる。
個人的に強く関心を持ったのが凸版印刷の「ZETA」である。治山治水において、この技術を応用したセンサーは効果を発揮すると考えている。